今日は、あまり関わる機会が少ないと思いますが、NIROモニターについて書いていきます。
NIROモニター
NIROモニター。
あまり聞き慣れない言葉ですよね。
僕自身もそうでした。
転職してから、初めて知りました。
今日はNIROモニターの測れる数値と基準値だけでも、持って帰ってください。
NIROモニターとは?

NIROモニターはこのような機械になります。
患者さんの額にSpO2モニターのプローブのようなモノを取り付けて、経皮的に数値を測定しています。
主にOP室看護師や脳外科看護師に関係する内容です。
手術中に取り付け、経皮的に脳血流を観察できるようになります。
あくまで、数値上ですが。
主に看護師で観察する項目を紹介します。
- 組織酸素飽和度TOI(%)
- 組織ヘモグロビン指標 nTHI
この2項目は抑えていきたいです。
それでは、各項目の説明へ。
組織酸素飽和度TOI
組織酸素飽和度TOIとは、SpO2のように脳組織中に酸素がヘモグロビンとどれくらい結合しているかをみています。
- 基準値
- 成人脳:60〜75%
- 小児脳:50〜65%
と言われています。
手術中に脳になんらかの障害を残さない、安全保障域を40%(もしくは、初期から±20%以内)とされています。
手術中に40%以下が10分程度持続してしまうと、術後神経障害を起こす確率が非常に高いです。
ですので、OP室看護師は数値に注意してください。
また、僕たちICU看護師はもしもそのようなことがOP室看護師から申し送りを受けたら、意識レベルを確認を最優先にしましょう。
組織ヘモグロビン指標 nTHI
組織ヘモグロビン指標は、総Hb濃度の相対変化を示します。
取り付けた段回でまず基準となる初期値を1としてその変化を観察します。
nTHIの初期値は1
例えば…
測定開始後、nTHIが1.20を示した時。→測定開始後から血液量が2割増加したことになります。
逆に、測定開始後、nTHIが0.80を示した時。→測定開後から血液量が2割減少したと言うことになります。
NIROモニターを装着した患者が帰室した時、同行してきた、臨床工学技士さんへ基準値の0点校正を依頼してください。(言われなくても、してくれていると思いますが)
どんな症例につけてくるの?

じゃあどんな患者さんに付けてくるの〜?
最もな質問ですね。
一例を紹介します。
僕の病院ではCEA術後の患者さんに装着されることが多いです。
CEAとは

CEAとは、内頸動脈狭窄症に対する手術です。
内頸動脈が血栓やプラークなどにより狭窄・閉塞してしまった患者さんに対し、血管を切り開いて、血栓を除去する手術になります。
大抵、挿管せずにマスク換気がICUへ入室します。
その際額に装着しているのがNIROモニターです。
では、何を観察したくてつけてくるのか。
それは
過灌流障害を可視化する為です。
過灌流障害とは、CEAを行うことで、元々狭窄していた患者さんの脳血管へ過度の血流が流れ込み、嘔気や嘔吐、頭痛を引き起こすことです。
また、創部の血管は一度切り開いて、縫合している為、過度の高血圧は出血のリスクもあります。
過灌流障害を見落とさないように、組織酸素飽和度を観察し、上昇し過ぎていないかを観察します。
医師へのコール基準はそれぞれの病院で異なると思いますが、90%以上でドクターコールのところが多いのかなと思います。
看護師は嘔気・嘔吐、頭痛などこれら頭蓋内圧亢進症状にも注意して観察していきましょう。
それでは、今日はここまで。
受け持つ際は医師・薬剤師など他職種へ相談の上、看護を行ってくださいね。
ありがとうございました。
脳外科関連ですとこんな記事も書いているので、よければ見ていってください。


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