
今日も忙しすぎる夜勤でした。
緊急入院が2件来て、どちらも僕が受け入れ…
元々2人担当してたので、昨夜で4人合計受け持ってました。
DKA(糖尿病ケトアシドーシス)、皮質下出血、高エネルギー外傷、AAA破裂…
さすがICUといったところ。
範囲が広くて自分もてんてこまいでした。
今日は自分の勉強もかねて書いていきますよー。

急性薬物中毒
急性薬物中毒とは、なんでしょうか?
薬には本来効果が適切に発揮される、治療範囲が存在します。
皆さんも薬をもらうことがあると思うんですけど、必ず『朝○錠 一回○錠』など、いつに何錠飲まなければいけないかが処方箋に書いてますよね?
正しい量で効果が発揮されるようになっています。
ところが、これを守らずに一度に大量の薬を飲むとどうなるでしょう。
例えば、睡眠薬
大量に飲みすぎると、昏睡状態に陥ることがあります。
このように、薬には適切な量が定められていますが、これを超えて大量に飲んんでしまい、副作用が出てしまうことを言います。
救急の分野では、精神疾患の患者さんが多量に服用して、意識混濁・意識不明で搬送されてくることが少なくありません。
何事も飲み過ぎはよくないですね…
治療
何より大事なのは、多量の服薬なのでそれを 体から除去することです。
それでは、そのような治療があるのでしょうか?
強制利尿・輸液負荷
まず、一番に思い浮かぶであろう。
おしっことして出そう。
という発想です。
正中で構いませんので、20G以上が望ましいですが、静脈ラインを確保します。
その後、医師の指示にしたがって概ね尿量250〜300ml/hを目標に輸液負荷を行います。
それでも不十分な場合は、ラシックスなどの利尿薬を使用し、尿量確保を目指します
※腎機能の低下している患者、透析患者についてはこの限りではないので、血液透析を視野にいれ介入していきます。

胃洗浄
胃洗浄はその名の通り、胃を洗浄します。基本的には1時間以内に実施することが望ましいとされています。
胃を洗浄するために必要なのは、まずは胃管を挿入することです。
胃管は一般的に20〜32Frが使用されるます。
挿入時は皮膚損傷を引き起こしリスクがあるので、必ず潤滑剤を使用してください。これは医師の手技の問題ですけどね。看護師もしっかりみておきましょう。
胃管の挿入が完了したら、まずは胃内容物を吸引してみてください。これで、胃内容物が吸引できるようであれば、可能な限り吸引しましょう。
続いて、胃洗浄のメインとなる部分です。
胃洗浄には体温より少し高いくらいの温度(38度前後)の生理食塩水か水道水を使用します。
1回の注入量に関しては、成人で200〜300ml、小児で10〜20ml/kgで投与し、急速に投与しないように気をつけましょう。排液が透明になるまで、繰り返します。必要量は5〜20Lと言われています。
活性炭
活性炭には、様々な薬剤を吸着する性質があり、活性炭自体は腸管から吸収されない性質も持っている為、薬物の濃度を下げる効果が期待できます。
1回投与量について、成人で50~100g,小児では25~50g(1歳以下では1g/kg)と言われています。これらの投与量に対して、成人では微温水300~500mlに,小児では10~20ml/kgの生理食塩液に溶かして、胃管もしくは、座った状態での服用をします。
緩下剤
緩下剤を使用することで、排便で体内から排泄することを目的とします。
一般的に活性炭と併用して使用し、体内での薬物の滞在時間を短くするようにしています。
使用する緩下剤はソルビトースを使用することが多く、投与量は成人では1~2g/kg,小児では0.5~1g/kgとし投与します。
看護
急性薬物中毒の患者は概ね、意識レベルが低下した状態で入室します。
意識レベルの低い患者さんには、まずは気道の確保が優先される為、気管内挿管が実施されます。
急性薬物中毒=over doseの患者さんへ、上記の薬物を除去する治療が行われるのと同時に、呼吸・循環についても安定ささせていきます。
呼吸器と接続したら、患者と呼吸器が適切に同調しているのかを確認し、血液ガス(ABG)データから、医師の指示に従い呼吸器設定を確認しモニタリングを実施していきます。
意識レベルの低下した患者さんは、挿管実施前に誤嚥している場合が多い為、レントゲンを確認し抗生剤の投与、吸引を行い気道クリアランスを改善させていきます。
挿管に伴い、鎮静剤を使用する場合もあり循環の崩れている患者さんも多いです。
治療に伴う輸液過多により、心不全を呈することもある為、医師へ確認していきます。
医師の指示した、平均動脈圧(MAP)を維持するようにモニタリングしていきます。
カテコラミンを使用する場合もあるので、頭の片隅に置いておいてください。
呼吸・循環が落ち着いたら、鎮静剤を減量し意識レベルに確認を行います。
瞳孔経も確認やGCSを用いた意識レベルの観察を行い、從命が確認できれば、呼吸器のウィニングを図り抜管の流れとなります。この、意識レベル・呼吸器離脱のプロセスをSAT・SBTトライアルと言います。
以上、急性薬物中毒の概要でした。
皆さんの看護の助けに少しでもなれればいいなと思います。
皆さんもご自愛ください。


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